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日外会誌. 108(3): 125-130, 2007


特集

癌治癒切除術後サーベイランスの意義と問題点

6.大腸癌

1) 防衛医科大学校 外科
2) 東京医科歯科大学 腫瘍外科

橋口 陽二郎1) , 上野 秀樹1) , 小林 宏寿2) , 石黒 めぐみ1) , 望月 英隆1)

I.内容要旨
大腸癌術後サーベイランスの目的は,再発巣を早期に発見し,治癒切除を施行することで予後に寄与することである.また,切除不能の場合でも化学療法や放射線療法による生存期間延長の可能性が示唆されている.近年の欧米のmeta-analysisによると,intensiveなサーベイランスにより再発巣がより早期に発見され,予後改善効果のあることが示されている.大腸癌治療ガイドラインにおいては,Stage I mp癌,Stage II,Stage IIIをフォローアップの対象とし,サーベイランス期間は術後5年間をめやすとし,術後3年目まではサーベイランス間隔は短めに設定することとされている.大腸癌研究会の「大腸癌術後のフォローアップに関する研究」の結果によると,再発巣の切除手術を受けた患者の初回大腸癌手術後の5年生存率は,非切除例よりも有意にすぐれており,本邦の従来のintensiveなフォローアップシステムが予後改善に寄与する可能性を示唆している.一方,大腸癌症例は異時性大腸癌発生の高リスクであり,一般的な大腸癌術後のフォローアップ期間である5年を経過した後も,大腸内視鏡検査,便潜血検査など何らかの多発癌の定期的スクリーニングが必要と考えられる.今後は,医療経済の視点からも,必要最小限の検査で効率よく大腸癌術後の再発を発見できるサーベイランスシステムの構築が必要である.

キーワード
大腸癌, サーベイランス, フォローアップ, 再発, 大腸癌治療ガイドライン


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