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日外会誌. 108(2): 89-94, 2007


外科学会会員のための企画

医療関連死モデル事業:この1年を振り返って

医療関連死に関するモデル事業に事案を届け出た病院の立場から

1) 日本大学医学部附属板橋病院 病院長
2) 日本大学医学部附属板橋病院 医療安全管理室室長

澤 充1) , 内ヶ崎 西作2)

I.内容要旨
異状死に関する医学会での考え方,医療関連死に関する警察,司法の対応,国民の意識をもとに試行されている医療関連死に関するモデル事業に対応した病院としての立場をまとめた.当院ではモデル事業に3例を依頼した.評価委員会からの報告書が完了した1例を中心にまとめた.死因の解明目的に関してはモデル事業では剖検が法医学者,病理学者,臨床専門医および担当医のもとで実施され,評価委員会が担当医からの意見聴取を行い,最終的に評価を行うシステムで運営されている.このシステムは従来の司法解剖,病理解剖以上の病態の解明に繋がる集学的組織として期待される.また,報告書の内容は公表用に概要がまとめられ,事例に関して遺族のみならず社会への情報提供として有用であると考えられた.一方でモデル事業の届出に関しては対象が不時に生じる事例であり,事務局の迅速な対応の必要性が挙げられる.モデル事業の発展のためには警察,行政とのさらなる連携の強化に加えて医療関係者に対する啓発の必要性が挙げられる.

キーワード
医療関連死, モデル事業, 異状死, 評価報告書, 評価委員会


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