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日外会誌. 108(2): 80-84, 2007
特集
大動脈弁膜症における人工弁の選択―機械弁か生体弁か―
6.Ross手術の遠隔成績
I.内容要旨
Ross手術は自己肺動脈弁を用いた大動脈弁置換術であり,1967年にDonald Rossが報告した方法である1)
.
本手術では新鮮な自己弁を用いることから抗凝固が不要であり血栓塞栓症,出血などの重篤な合併症がなく,溶血,感染,血行動態の面でも他の大動脈置換術を上回っている.更に小児では自己肺動脈弁の成長が見込めるという利点も兼ね備えている.
一方肺動脈弁が切除された右室流出路の再建には,種々の同種弁や人工弁が用いられる.欧米では同種肺動脈弁(ホモグラフト)が一般的に用いられるが,本邦では入手困難であり他の弁で代用されることが多い.
手術手技は通常の大動脈弁置換術に比して難しく,また2弁手術になることから手術危険度も高くなると考えられ導入当初はさほど普及しなかった.1990年代に入り心臓外科手術手技の発達,心筋保護法の確立とともにRoss手術はわが国も含めて世界中に普及しその成績も安定してきた
今回はRoss手術で問題となる点をまとめ,当院での手術成績,遠隔成績を含めて報告する.
キーワード
Ross手術, Ross-Konno手術, 自己肺動脈弁, 右室流出路再建
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