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日外会誌. 107(5): 207-210, 2006


特集

これからの術後感染の対策治療を考える

2.欧米のガイドラインとその遵守

国立感染症研究所 感染症情報センター主任研究官

森兼 啓太

I.内容要旨
術後感染は正しい知識と適切な管理によりその発生を減少させることができる.術後感染減少へ向けた対策は,執刀医の才覚に依存するのではなく,多職種のチームワークとしての院内感染対策(感染制御)である.近年,外科治療の進歩と手技の安定化に伴い,これまであまり重視されなかった感染制御に対する臨床外科医の関心がようやく高まってきた.欧米,特にアメリカ合衆国では,外科を含めた感染制御に関する研究が多数行われており,またそれらをレビューしてガイドラインを策定する体制が整っている.現時点で我々はこの分野において欧米のガイドラインに依存せざるを得ない.1999年にアメリカ合衆国から出された手術部位感染防止ガイドラインは日本の外科医の間で急速に普及している.しかしそれらのガイドラインも確固たるエビデンスに基づかない部分が存在し,特に予防的抗菌薬投与の項目についてはエビデンスが不足している.日本では言うまでもなく,ガイドラインの発出国であるアメリカにおけるその項目の遵守率も決して高くない.さらには手術の質や医療体制・人種の相違という問題もある.現段階で我々は,欧米のガイドラインの効果と限界を知り,それを修正した形で使用することが賢明である.限界と考えられる部分に関しては日本で無作為化比較試験などを行う必要があると考える.

キーワード
感染制御, 手術部位感染防止ガイドライン, 予防的抗菌薬投与


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