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日外会誌. 107(3): 109-115, 2006
      
	
	
	
	
		
		
		
		
		
		
		
		
		
	
	
	特集
		大腸癌両葉多発肝転移に対する外科治療
		
			3.原発巣の進展度から見た治療成績
						I.内容要旨
						転移病巣を切除してからの予後は,転移巣のほかに原発病巣因子にも影響される複雑さがある.大腸癌肝転移の治療を考える際に原発巣因子をどのように考慮するべきかについて検討した.1995年から2005年末までに癌研病院で初回肝切除術を受けた262例のうち,癌研病院で原発巣切除術をうけた180例(68.7%)(男:女=114:66,平均年齢61.1(±10.5)歳,同時性:異時性=95:85,原発結腸:直腸=124:56)を対象とした.原発巣情報としては,原発部位,原発巣組織の分化度,リンパ節転移度,転移リンパ節個数,深達度,Dukesステージを取り扱った.【結果と考察】:原発巣の深達度,リンパ節転移度,転移個数,Dukesステージにより肝切除後の予後は有意に影響を受けた.特に,3群リンパ節以遠に転移がある場合には50%生存期間は2年以下でありこれまで長期生存例もないので,このような症例に対しては切除適応そのものを考える必要があると考えられた.同時性転移では,原発巣因子のうちリンパ節転移度,転移リンパ節数,Dukesステージが有意な予後因子であったが,異時性肝転移症例では原発巣,転移巣因子のいずれも予後に有意の差を及ぼさなかった.同時性肝転移症例では原発巣因子が肝切除時点から影響を与えるが異時性切除の場合には,肝転移発見までに原発巣を含めた肝外因子により淘汰されるため,原発巣因子の肝切除時点からの予後への影響が薄まってしまうためと推定される.
					
キーワード
大腸癌 colorectal cancer or carcinoma, 肝転移 liver metastases, 肝切除 hepatectomy, 原発巣 primary disease, 予後因子 prognostic factor
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