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日外会誌. 107(3): 104-108, 2006


特集

大腸癌両葉多発肝転移に対する外科治療

2Stagingと手術適応

愛知県がんセンター中央病院 消化器外科部

加藤 知行 , 安井 健三 , 平井 孝 , 金光 幸秀 , 小森 康司

I.内容要旨
大腸癌肝転移例の治療方針決定のためのstage分類と手術適応について解説した.
切除後の予後不良因子として異論がないのは,剥離面に癌が露出しているような不完全切除,肝所属リンパ節転移陽性,衛星病変など肝転移進展因子陽性例,肝外転移巣を有することである.予後に大きく影響を与える因子は,肝転移個数,切除断端距離(tw),肝転移切除後のCEA値とCA19-9値などである.
大腸癌取り扱い規約第6版で規定されているH-numberによる病期分類は肝転移切除例の予後を反映しないので,予後を規定する因子として原発巣のリンパ節転移個数と肝転移個数および大きさを採り上げた新しい分類案を作成した.本分類案は肝転移例が各病期に適度に分布し,切除例,非切除例ともに各病期が予後を良く反映した.
肝切除の適応基準は(1)外科切除のリスクが良いこと,(2)原発巣がコントロールされていること,(3)適度な残肝量を残して肝転移巣が完全に切除できること,(4)肝転移以外の遠隔転移がないこと,(5)肝所属リンパ節転移がないこと,さらに肝転移巣の条件として(6)肝転移個数4個以下,(7)切除断端距離(tw)が10mm以上切除できることが挙げられる.転移部位,すなわち片葉か両葉かは適応基準に入っていない.

キーワード
大腸癌肝転移, 病期分類, 手術適応


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