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日外会誌. 107(1): 15-20, 2006


特集

虚血性心疾患治療の新展開

4.急性心筋梗塞に対する外科治療

福岡大学 心臓血管外科

森重 徳継 , 田代 忠

I.内容要旨
急性心筋梗塞例への緊急CABGはPCI困難例に対して行われる.血行動態不良例が多く,発症早期手術の成績は不良であるが,心拍動下CABGによる迅速な血行再建が可能となり,成績の向上が期待される.心室中隔穿孔に対する術式はinfarct exclusion法が標準術式として普及し,救命率も向上した.心室自由壁破裂の術式はoozing型ではsutureless法,blowout型ではsutureless法で困難な場合infarct exclusion法が応用され,成績が向上している.さらに迅速な診断と循環管理も救命率の向上に必要である.僧帽弁乳頭筋断裂に対する術式は術前状態不良例が多く,確実な逆流の制御が可能な弁置換術(後尖温存術式)が確実である.併せてCABGを行うことが望ましい.
新しい術式の考案と症例の蓄積による改良,心拍動下CABGの普及,補助循環法の進歩により成績は年々向上している.

キーワード
急性心筋梗塞, 冠動脈バイパス, 心室中隔穿孔, 心室自由壁破裂, 僧帽弁乳頭筋破裂

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