[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (693KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 106(10): 654-658, 2005


特集

包括医療の導入による影響と対策

7.小児外科領域における包括医療の影響と対策

関西医科大学付属病院 小児外科

濱田 吉則

I. 内容要旨
2003年4月から小児外科診療を行う大部分の施設に,新しい診療報酬の支払い方法である診断群分類(DPC)に基づいた包括的支払方法が導入され2年が経過した.小児外科領域におけるDPCの現状を調査し,小児外科医療における問題点と対策を考えてみた.新生児外科疾患は,重要な疾患にも拘わらず現在はDPCの対象外となっている疾患が多く,今後の症例集積による評価が必要である.当科における検討では,DPCの対象患者は入院315件中286件で90.8%を占めた.総点数はDPCで出来高の103.5%であった.そけいヘルニアでもDPCの102.2%で,2004年の改正による大きな変化はなかった.今後の対応策として,術前検査は外来で行い,麻酔が必要な侵襲的検査は検査入院のツリーを作っていく.良性疾患で全身状態がよい場合は予定入院手術とする.悪性腫瘍や急性腹症の診断,術後経過観察は必要最小限の検査に留める.治療はクリニカルパスにのせ,術後感染症などの合併症を起こさず適切な手術,術後管理を行えば,病院全体の在院日数の短縮,病床利用率の向上に繋がる.現在のDPC分類は複雑かつ不適切な点が多いため,今後分類の見直し,簡素化・精緻化が必要である.小児では検査,術前術後管理に多大な人手を要するが,コストが過小評価されている.小児医療の不採算性を解消するために早急に適切な評価をするべきである.

キーワード
診断群分類(DPC), 包括医療, 小児外科, 新生児外科, そけいヘルニア

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。