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日外会誌. 106(7): 427-430, 2005


特集

小児固形腫瘍の治療戦略

5.小児肝芽腫治療の治療戦略

北海道大学 小児外科

佐々木 文章

I.内容要旨
小児悪性固形腫瘍の中で,小児肝腫瘍の頻度はそれほど高くはないが,これまでその予後は必ずしも良好ではなかった.治癒を得る条件の一つに,肝腫瘍の完全切除が必要である.しかし初診時には進行例が多く,切除率は50-60%にすぎなかった.欧米のグループスタディにより術前化学療法が根治的切除率を増すことが報告され,また,術後の化学療法により約30%に見られた術後の転移・再発が著明に低下することも報告された.本邦でも小児肝がんグループスタディによる統一プロトコールによる治療により,その治療成績は欧米にも匹敵するものになった.現在,化学療法抵抗性の肝芽腫に対し,超大量化学療法+造血幹細胞移植を行う方法や,肝移植が治療法の一つとなってきているので,これらの治療法の確立が求められている.

キーワード
小児, 肝腫瘍, 肝芽腫, 術前化学療法, 肝移植

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