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日外会誌. 106(7): 418-421, 2005


特集

小児固形腫瘍の治療戦略

3.神経芽腫の手術―これまでとこれから

筑波大学 臨床医学系小児外科

金子 道夫

I.内容要旨
筑波大学では1985年以降,乳児神経芽腫にも進行神経芽腫にも軽減された手術を一貫して施行してきた.85年以降のマススクリーニング発見乳児例40例では,非手術の1例を除き原発巣切除+リンパ節サンプリングを施行し,全例無病生存,手術による合併症は全く認められない.一方,進行神経芽腫には厚生省班研究プロトコールで治療を行い,初期治療終了後,次に引き続く化学療法に影響を与えないよう,原発巣切除と2cm以上のリンパ節切除・サンプリングを行い,ほぼ全例に術中照射を併用した.これまで20例にこのような手術を施行し,局所再発は4例で,stage 4の5年生存率は70%,10年生存率は62%と良好であった.局所再発が死因となった症例はなかった.現時点では系統的リンパ節郭清を伴う徹底した切除が手術の主流であるが,2005年より局所治療を超大量化学療法終了後,すなわち治療の最後に行う治療方式の臨床試験が行われる.手術も軽減化コンセプトで施行することとなった.化学療法と局所治療を分けて施行し,お互いの干渉を避けるこのプロトコールコンセプトにより,局所治療の進行神経芽腫全体の治療に占める意義が明らかにされる可能性がある.

キーワード
神経芽腫, 機能温存, 臨床試験, グループスタディ

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