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日外会誌. 106(6): 401-404, 2005


外科学会会員のための企画

外科と免疫

組織線維化とfibrocyte

東京大学 先端科学技術研究センター
(株)エフェクター細胞研究所 

玉谷 卓也

I.内容要旨
組織線維化において,血中に存在する骨髄由来の間葉系細胞:fibrocyteが関与している可能性が指摘されている.血中のfibrocyteは,CD34陽性コラーゲン陽性であるが,組織に浸潤するとmyofibroblast様に分化しCD34の発現がなくなりコラーゲン,αSMAの発現が上昇する.動物モデルでは創傷治癒,肺線維症,喘息における気道線維化などにおいてfibrocyteの関与が指摘されている.またヒトでもケロイド,強皮症,喘息などにともなう線維化局所においてfibrocyteの浸潤が報告されている.FibrocyteはCCR2,CCR7,CXCR4などのケモカインレセプターを発現しており,リガンドであるMCP-1,SLC,SDF-1などに誘引され組織に浸潤していると思われる.線維化に対する治療を考えるうえでfibrocyteは重要なターゲットと考えられる.

キーワード
線維化, fibrocyte, 炎症, 癌, ケモカイン


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