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日外会誌. 106(5): 357-360, 2005


外科学会会員のための企画

内視鏡手術―是か非か?

食道手術―是か非か?―食道癌手術におけるQuality Controlの重要性―

順天堂大学 上部消化管外科

梶山 美明 , 鶴丸 昌彦

I.内容要旨
食道癌は消化器癌の中でも非常に特徴的であり,その特徴は疾患自体の悪性度の高さ,食道癌手術の難易度の高さ,術後合併症発生率の高さに集約される.食道癌手術の侵襲の大きさや治療成績の評価を行う際に重要な点は,どの様な内容のリンパ節郭清手術が行われたかのQualityの評価である.食道癌手術のQuality Controlを行う上でわれわれが最も重要であると考えるのは,左右反回神経周囲を中心とした「上縦隔リンパ節郭清」であり,106-recリンパ節郭清には細心の注意と繊細な手技が求められる.また術後呼吸器合併症予防のためにわれわれが行っている手術の工夫は気管支動脈の温存と迷走神経肺枝の温存である.われわれ自身の1994年以前のデータと2004年1年間の術後合併症のHistorical Studyによる比較検討では,人工呼吸器装着率は15.6%から7.8%に半減した.食道癌治療成績向上のための最大の課題は,根治性を損なわずに手術侵襲や合併症を減らすことである.開胸手術におけるQuality Controlを厳格に進めていくと同時に鏡視下手術において「手術侵襲は何に由来するのか?」,「リンパ節郭清の精度を減じることなく手術侵襲を減らすことはできるか?」などの疑問点を明らかにして行くことによって新たな食道癌手術方法を求めて行きたい.

キーワード
Quality Control, 上縦隔リンパ節郭清, 気管支動脈, 迷走神経肺枝


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