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日外会誌. 106(5): 323-327, 2005


特集

心血管疾患合併症例の非心臓手術における評価と管理

2.虚血性心疾患合併例―OPCABの登場による治療戦略の変化―

福島県立医科大学 心臓血管外科

横山 斉

I.内容要旨
高齢化社会の到来と生活習慣病の増加により,非心臓手術症例に虚血性心疾患が併存する場合が急増し,冠動脈病変のスクリーニングと評価,冠血行再建術の必要性の判断,冠血行再建法の選択と時期の決定,そして安全な周術期管理は,現代の全ての外科にとっての統合的テーマとなった.スクリーニングは,症例(どのような症例がハイリスクか),手術(どのような手術がハイリスクか),手術のタイミング(非心臓手術および冠疾患の緊急性),を考慮する.全身状態,冠動脈病変の重症度と緊急性,非心臓疾患手術の至適時期,侵襲度および予後などの諸因子を考慮し,治療戦略が決定される.冠血行再建法として,カテーテル治療には低侵襲性の利点がある.しかし,近年のステント治療は,急性ステント内血栓症の予防のため抗血小板薬投与が4―6週間必要であり,非心臓手術の待機期間が延長する.最近登場したdrug-eluting stentは,より長期の厳重な抗血小板療法が必要である.長期的に新生内膜によるステント被覆を阻害するため,遠隔期においても外科手術に備えて抗血小板薬を中止した症例には血栓形成によるdrug-eluting stentの急性閉塞が報告されている.冠動脈バイパス術(CABG)の利点は,冠血行再建の確実性と長期安定性である.近年,外科的冠血行再建術の第一選択となりつつある心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)は,従来の人工心肺下CABGと比して,その低侵襲性により非心臓手術との同時および分割手術における有効性が期待できる.

キーワード
虚血性心疾患, 非心臓手術, カテーテルインターベンション, 薬剤溶出性ステント, 心拍動下冠動脈バイパス術


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