[書誌情報] [全文HTML] [全文PDF] (153KB) [会員限定][検索結果へ戻る]

日外会誌. 106(3): 252-257, 2005


特集

術後静脈血栓症肺動脈血栓塞栓症の予防と治療

7慢性肺血栓塞栓症の外科治療

藤田保健衛生大学 心臓血管外科

安藤 太三 , 山下 満 , 佐藤 雅人 , 星野 竜 , 服部 浩治 , 近藤 ゆか

I.内容要旨
高血圧症を伴う慢性肺血栓塞栓症は内科的治療に抵抗性で予後不良であり,外科的治療が非常に有効である.最近積極的に施行されるようになった超低体温間歇的循環停止下の血栓内膜摘除術はSan Diegoグループにより開始されたが,術後著明な肺血行動態と肺ガス交換能が改善されて,生活の質の向上が得られる.外科治療の適応決定には肺動脈の閉塞形態が重要であり,手術が困難な末梢型閉塞例や腫瘍塞栓例を鑑別する必要がある.手術方法は胸骨縦切開後,体外循環を開始して18℃の超低体温間歇的循環停止として,剥離層を見つけて両側肺動脈の血栓内膜摘除を行う.本症では急性例と違って肺動脈壁に固く付着した器質化血栓を内膜とともに慎重に摘除する必要があり,術後は気道出血や心不全に対する注意深い術後管理を要する.最近の手術成績は各施設とも手術死亡率が5~10%となって良好となった.

キーワード
慢性肺血栓塞栓症, 肺高血圧症, 外科治療, 超低体温間歇的循環停止, 血栓内膜摘除

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。