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日外会誌. 106(3): 247-251, 2005


特集

術後静脈血栓症・肺動脈血栓塞栓症の予防と治療

6急性肺血栓塞栓症の外科治療

弘前大学医学部 第1外科

福田 幾夫 , 福井 康三 , 鈴木 保之 , 皆川 正仁 , 谷口 哲 , 近藤 慎浩

I.内容要旨
急性広範性肺血栓塞栓症は突発的に発症し,きわめて短時間のうちに死亡する可能性のある疾患であり,入院中の合併症として重要である.救命のためには,リスクを層別化し,治療を行ってゆく必要がある.外科治療(体外循環下肺塞栓摘除術)の絶対的適応は,摘出可能な新鮮血栓が肺動脈幹あるいは左右主肺動脈に存在し,高度のショック状態あるいは循環虚脱状態の持続,低酸素血症の持続が認められる症例である.右室負荷所見をみとめるが血行動態が安定している急性肺血栓塞栓症は,通常線溶療法の適応になるが,外科手術後急性期や脳血管障害例など線溶療法の禁忌あるいは線溶療法による出血性合併症のリスクが高い場合には肺塞栓摘除術の適応としてよい.塞栓摘除術により血行動態の速やかな回復がえられ,最近では早期の診断確定と手術により,良好な成績が得られている.入院患者の急性広範性肺血栓塞栓症に対しては,担当診療科と心臓外科との緊密な協力により,救命の可能性を探るべきである.

キーワード
急性肺血栓塞栓症, 静脈血栓塞栓症, 肺塞栓摘除術, 院内救急システム


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