[
書誌情報]
[
全文PDF] (3637KB)
[会員限定・要二段階認証]
日外会誌. 105(12): 751-756, 2004
特集
外科医に必要な炎症性肺疾患の知識
6.慢性膿胸-病態と治療
I.内容要旨慢性膿胸は通常,著明な胸膜肥厚と胸郭萎縮,腔内に膿の貯留を見,気管支瘻症状を常とするが,内腔が進行性に拡張し時に周辺臓器を圧迫するに至る特殊型がある.後者はChronic Expanding Hematoma(Reidら)の胸腔発生であり,典型例では慢性膿胸の特徴である胸膜肥厚や胸郭の萎縮がなく腔内は無菌のことがおおい.
腔内から検出される細菌は抗酸菌が20-30%,化膿菌,真菌等が40%程度で,30%前後は無菌である.本疾患は外科的疾患であり多種多様な手術が行われるが肺剥皮術と胸膜肺摘除が基本術式である.前者は肺の再膨張により胸腔の閉鎖を意図する理想的な術式であるが,適応が限られる.後者は汚染手術でしかも巨大な腔を残すため最もリスクの高い術式である.両者の中間術式が膿胸腔の閉鎖と気管支瘻の遮断を目的とした各種の充填術である.従来の胸・背筋の有茎筋肉弁一辺倒から大網弁さらに形成外科的手法の導入によって腹部,大腿部筋肉弁の遊離移植などより有効な筋肉弁の活用が可能となってきた.古典的な手術である腔閉鎖のための胸郭成形術は呼吸不全を助長するため可及的避けるべきである.また悪性リンパ腫が高率に合併することも念頭におかねばならない.
キーワード
結核後遺症, 人工気胸, 慢性膿胸, Chronic Expanding Hematoma, 悪性リンパ腫
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。