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日外会誌. 105(12): 742-744, 2004


特集

外科医に必要な炎症性肺疾患の知識

4.非定型抗酸菌症に対する外科治療

京都大学 医学部呼吸器外科

福瀬 達郎 , 和田 洋巳

I.内容要旨
非定型抗酸菌症の外科療法の適応について1987年に日本結核病学会治療委員会は,1)大量排菌が持続する,2)X線所見にしばしば悪化がみられる,3)病巣が限局性である,4)比較的若年で肺機能上手術に耐えうるものとする,との見解を示している.さらに,1997年のAmerican Thoracic Societyの見解では,化学療法への反応性が悪い,マクロライド耐性が追加されている.手術の目的は病巣除去なので,切除により残存肺に活動性の病巣が存在しなくなることが必要である.したがって,病巣が一肺葉に限局していることが理想的であるが,他肺葉に及んでいる場合でも,全摘するだけの肺機能の余力があれば手術可能である.術式は区域切除,肺葉切除,肺全摘術,胸郭成形術などが術式として選択される.その中でも,適応とされる症例では多くの場合主病巣は一葉に限局しており,病巣の完全除去を目的としているので,選択される術式の原則は肺葉切除である.病変が限局しており区域切除で病巣が切除可能な場合は区域切除が選択される.病変が,一側肺全体に及ぶ場合は肺全摘術が適応となる.手術後の合併症は,30%以上と高い報告もあるが,長期予後としておおむね80%以上が排菌陰性化しており,成績は良好である.再発例は,病巣の取り残しがほとんどであり,病巣内の限局している間の手術が望まれる.

キーワード
肺非定型抗酸菌症, 手術, 術後合併症, 術後成績

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