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日外会誌. 105(11): 720-725, 2004


特集

周術期の院内感染対策

7.SSIサーベイランス

1) NTT 東日本関東病院 外科
2) 国立感染症研究所 

小西 敏郎1) , 針原 康1) , 森兼 啓太2)

I.内容要旨
SSI(surgical site infection,手術部位感染)は,外科手術後における重要な合併症であり,その発生は入院期間を延長し,医療コストを増大させ,患者の満足度を著しく損なう.米国ではNNISシステムにのっとったSSIサーベイランスが行われており,現在では300施設以上が参加している.欧米諸国に比べて,本邦のSSIサーベイランスは立ち遅れてきた.日本環境感染学会では1998年よりJNISシステムを確立し,SSIサーベイランスをスタートした.2003年10月まで計36施設から累計20,948例が登録され,SSI発生症例は1,394例で,6.7%の発生率である.SSIを手術の臓器別にみると,圧倒的に消化器外科がSSIの発生率が高かった.
SSIのサーベイランスは2002年7月からは全国50施設が参加して厚生労働省が行う国家事業へと発展した.厚生労働省の事業はしばらくは50施設のままで行われる.そこでSSIサーベイランスのわが国でのさらなる普及と質の向上を目指して2002年10月よりSSIサーベイランス研究会がスタートした.SSIサーベイランス研究会の活動を通じて多くの施設がSSIサーベイランスに参加し,わが国のベースラインデータが確立され,SSIが減少することが期待される.

キーワード
surgical site infection, National Nosocomial Infection Surveillance, Japanese Nosocomial lnfection Surveillance, SSI サーベイランス研究会, infection control team


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