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日外会誌. 105(10): 680-686, 2004


特集

肝切除・部分肝移植後の肝再生と肝不全-基礎と臨床-

8.肝移植後肝不全の病態と対策

徳島大学大学院 臓器病態外科学

藤井 正彦 , 居村 暁 , 森根 裕二 , 池本 哲也 , 島田 光生

I.内容要旨
移植後肝不全の発生にはgraft sizeが重要な因子であり,特に成人例においてはいわゆるsmall-for-size(SFS)graft syndromeの克服が重要な課題である.SFS graft syndromeの成因として,1,肝容積に対して過剰な門脈血流,2,ドレナージ不良によるうっ血,3,機能的肝容量の不足,4,graft内部の急激な環境変化による多様な反応,などがあげられる.これらの対策として1,Porto-systemic shuntや脾動脈結紮による門脈圧の制御,2,肝静脈形成や追加再建によるドレナージの改善,3,高圧酸素療法による肝不全の治療や人工肝臓による補助療法,4,薬剤投与による肝再生の制御や肝細胞保護効果の誘導,などが考えられており,すでに一部は臨床応用され予後の改善をもたらしている.本稿では移植後肝不全の重要な因子の一つであるSFS graftにおけるこれらの病態と対策について解説し,今後の課題を含めて検討する.

キーワード
生体肝移植, 移植後肝不全, small-for-size graft, 肝再生

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