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日外会誌. 105(9): 503-507, 2004


会員のための企画

緩和医療
-がん患者の精神症状の緩和-

国立がんセンター中央病院 精神科

中野 智仁

I.内容要旨
がんを心理・社会・行動学的に捉える学問領域は精神腫瘍学(Psycho-Oncology)と呼ばれている.精神腫瘍学は「がんが患者・家族・医療従事者におよぼす影響」という心理・社会学的側面と,「感情状態や行動が,がんの進行や死亡におよぼす影響」という精神生物学的側面のふたつが大きな柱とされている.
緩和医療の臨床では主に前者の心理・社会学的側面に注目する立場から,発生した問題を適切に評価し,効果的な介入を行うことが必要である.インフォームドコンセントを前提としたがん医療が一般的となりつつある我が国においては,患者・家族・医療従事者の精神的負担が今後増大することは避けられないと思われる.適切な援助が適切な時期に行われるために,一般診療にあたる臨床医にも広く精神腫瘍学の知識が普及することが望まれる.
本稿ではがん患者にはどのような精神症状が見られるのか,頻度の高いものについて対処法も含めて概説する.

キーワード
精神腫瘍学, がん患者, 適応障害, うつ病, せん妄

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