[書誌情報] [全文PDF] (598KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 105(8): 464-468, 2004


特集

外科領域における再生医療の現況と展望

8.血管新生;細胞移植療法の現況と展望

山口大学 医学部器官制御医科学講座 (外科学第1講座)

濱野 公一 , 李 桃生

I.内容要旨
血管新生治療は虚血性疾患に対する新たな治療法として期待されている.血管新生治療に用いられる手段として概して物理学的な刺激,血管新生因子の投与,細胞移植の3つに大別することができる.細胞移植による血管新生治療は,90年代後半から研究報告され,急速に発展してきた.特に自己の骨髄あるいは末梢血由来の細胞を用いた血管新生治療においては,すでに日本を初め世界各国で難治性虚血性疾患患者を対象とした臨床試験が行われている.この臨床試験のほとんどで,臨床症状の改善や血流増加など,細胞移植治療に起因するであろう治療効果が得られたと報告されている.一方,安全性に関しては大きな問題はなさそうであるが,さらにそれらの結果に基づいた治療法の改善が必要であると考える.最近新たな問題点も報告されている.しかし,細胞移植治療に用いられる細胞の種類,投与細胞数,投与経路など,様々な議論すべき問題が残されている.今後は,細胞移植による血管新生治療の作用機序のさらなる解明と,治療効果の確認や長期の追跡による安全性確認が必要と思われる.

キーワード
cell implantation, angiogenesis, bone marrow cell, ischemia

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。