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日外会誌. 105(6): 369-373, 2004


特集

腹部外科領域におけるinterventional radiologyの応用:最新の知見

5.一時的下大静脈フィルターによる肺塞栓症の予防

福島県立医科大学 医学部心臓血管外科

佐戸川 弘之 , 横山 斉

I.内容要旨
肺塞栓症(PE)は,深部静脈血栓症(DVT)における重大な合併症であり,PE予防は大きな治療目的である.PE予防には下大静脈フィルター(VCF)の挿入が行われてきたが,永久型に加え数年前から一時留置型(一時型VCF)および回収型VCFが登場し,適応および治療体系も変化してきている.永久型VCFの適応のうち,早期または急性期のPE予防が必要となる症例が,一時的VCFの適応となる.具体的にはDVT発生早期の浮遊性血栓,DVT血栓除去術周術期または血管内治療施行時,DVT合併例での他疾患に対する手術の周術期,下大静脈や腹腔内静脈を圧迫する腹部腫瘤の周術期,PE急性期の再発予防等があげられる.さらにDVT合併例の分娩症例や多発外傷などのハイリスク例も考慮に入れるべきである.しかし,一時的VCFに関するエビデンスは少なく,適応と挿入方法に関した今後の検討が必要と考えられる.

キーワード
下大静脈フィルター, 肺塞栓症, 深部静脈血栓症, 血栓溶解療法


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