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日外会誌. 105(6): 364-368, 2004


特集

腹部外科領域におけるinterventional radiologyの応用:最新の知見

4.生体肝移植における血行再建部の狭窄に対するIVR

京都大学 医学部臓器移植医療部

江川 裕人

I.内容要旨
吻合部狭窄は,治療のタイミングを失うと血栓を合併しグラフトロスとなるので,術後の血管形態と血流モニターと早期診断,早期治療が重要である.近年,interventional radiology:IVRが進歩したおかげでリスクの高い外科的手術に及ばず脈管狭窄を治療することが可能となったが,これにおいても,有効なタイミングを逃がさないことが大切である.
門脈狭窄の臨床症状は門脈圧亢進と肝内門脈血流減少である.門脈圧亢進により脾腫,血小板減少が見られるが,外来での超音波検査によるスクリーニングが重要となる.Post-stenotic dilatationやvanishing portal veinで門脈狭窄を疑ったら,3DCTにて確認しIVRへ進める.頻回に繰り返す場合,ステント留置あるいは外科的再建術も検討する.肝静脈狭窄は,トランスアミナーゼ軽度上昇,ビリルビン上昇,アルブミン低下といった検査所見と腹水,脾腫などの症状を呈する.超音波では,肝内肝静脈の拡張と肝静脈波形の平坦化と流速低下が典型的所見である.肝生検で中心静脈周囲の鬱血や出血を認める.再発する狭窄には,時期を失わずステント留置を検討すべきである.肝動脈血栓ではなく狭窄症例に対してpercutaneal intraluminal angioplastyとステント留置を行い良好な結果を報告している施設もある.

キーワード
生体肝移植, 吻合部狭窄, ドップラー超音波, バルーン拡張術, グラフトロス

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