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日外会誌. 105(6): 359-363, 2004


特集

腹部外科領域におけるinterventional radiologyの応用:最新の知見

3.腹部内臓動脈領域におけるIVR

1) 浜松医科大学附属病院放射線科 放射線部
2)  放射線医学講座

稲川 正一1) , 竹原 康雄1) , 那須 初子2) , 磯貝 聡2)

I.内容要旨
腹部内臓動脈領域におけるIVRを,歴史的展開,現状における到達点,今後の課題などに焦点を当てて概観する.消化管吻合部縫合不全による出血に対する塞栓術は,現在十分な止血効果をもたらすに到っているが,合併症としての肝梗塞の回避が今後の課題である.内臓動脈瘤に対する塞栓術については,疾患の自然経過自体が実は正確には捉えられていないという点に注意する必要があり,また動脈瘤の形態や親血管によって適応が制限されるので,回転血管撮影による三次元画像解析などを用いて症例ごとに塞栓術か外科的手術かの選択を検討すべきである.部分脾動脈塞栓術は脾機能亢進症の治療法として1980年代には評価が確立されたが,重症肝機能障害例に対する適応などの点で注意が必要である.急性上腸間膜動脈閉塞に対する局所線溶療法は外科的治療法と組み合わせて利用されるべきであるが,それでもなお,重篤な転帰をとる例が少なくなく,現代医療の限界の一端を示している.

キーワード
内蔵動脈, IVR, 塞栓術, 消化管吻合, 動脈瘤


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