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日外会誌. 105(3): 243-246, 2004


特集

外科学への新たなる挑戦-適塾に学び未来へ羽ばたく-

2.専門医制度を取り巻く諸問題

名古屋大学 器官調節外科

二村 雄次

I.内容要旨
厚生労働省から示された新医師臨床研修制度と専門医広告規制の緩和策の2つの政策転換が医療界に大きな衝撃を与えた.新医師臨床研修制度は2年間のローテート研修を行うことになったため,ストレート研修を行ってきた大多数の大学では,研修医から専門医に至る修練の過程に大きな問題が派生してくることが予想された.専門医広告規制緩和の中に示された外形基準の中で,最も大きな影響があったのは「5年の修練期間」と「法人格を有した学会」の二つのキーワードであった.後者は社団法人の外科学会にとっては問題なかったが,法人格を有してない2階部分の各関連外科学会(サブスペシャルティー)にとっては火急の大問題となった.しかし,修練期間4年の認定医制を採用してきた日本外科学会としては,単に修練期間を延長すると関連外科専門医の修練期間が7年から8年に延長してしまうため,「どのようにして4年を5年に延長するか?」「その時にサブスペシャルティーといかに調整するか?」が大問題として急浮上した.平成14年8月2日に急遽「外科・関連外科専門医制度調整委員会」を開催し,外科専門医制度と関連外科専門医制度が有機的に連携する方策が検討され,約1年をかけて外科専門医制度に修練4年目の一次試験と5年目の二次試験を行うことが決定され,一次試験合格後にサブスペシャルティーへ進むことができる制度が確立された.ただその検討過程でサブスペシャルティーの学会側から,手術手技の最低症例数(到達日標3)の見直し案が提出され,最低症例数の変更を行うことなしに改正案を成立するに至った.一方,「学会が専門医を認定する」ことが明らかとなったため,「専門医認定制協議会」の存在意義が不明確となり,これも「有限責任中間法人日本専門医認定制度機構」へと名称変更し,今後は各専門医制度の調整とか,Quality controlをすることを主たる義務とすることになった.
専門医制度はあくまで診療を受ける患者(国民)のための制度であることを再認識した上で,間近に迫った第一回一次試験の実施計画に入ろうとしている.

キーワード
卒後臨床研修, 新医師臨床研修制度, 外科専門医制度, 関連外科専門医制度


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