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日外会誌. 105(2): 218-222, 2004


特集

外科領域における栄養管理

6.病態別栄養管理法の実際
a.周術期

1) 岩手医科大学 外科学第1講座
2) 岩手医科大学 救急医学講座

池田 健一郎1) , 木村 祐輔1) , 岩谷 岳1) , 青木 毅一1) , 大塚 幸喜1) , 新田 浩幸1) , 小川 雅彰1) , 佐藤 信博2) , 石田 薫1) , 斎藤 和好1)

I.内容要旨
消化器外科領域の待機手術患者の周術期栄養管理について述べた.栄養投与ルートは経口,経腸を基本に症例・病態に応じて静脈栄養も使い分ける必要がある.術前栄養障害の病態は蛋白栄養不良症であるが,これらの患者では術後感染性合併症発生率が増加するため,的確な術前栄養評価を行い低栄養患者には7~14日間の経腸または経静脈栄養を施行する.低栄養の目安は6カ月間の体重減少が10%以上または血清アルブミン3.5g/dl以下である.術後栄養療法は,術前低栄養または栄養摂取量不足が1週間以上続くと予想される患者に対して施行する.投与ルートの原則は経腸的投与であるが,これが不能または不十分な場合は高血糖に注意しつつ静脈栄養を行うという柔軟な管理が必要である.一方,幽門側胃切除や結腸切除などでは術後3~4病日で経口摂取開始が可能であり,付加的な末梢静脈栄養が行われることが多い.免疫増強物質を含むImmunonutritionは可能ならば術前投与が有効であり,今後更なる研究・発展が望まれる.

キーワード
perioperative nutrition, enteral nutrition, parenteral nutrition, immunonutrition, postoperative complication


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