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日外会誌. 104(12): 828-834, 2003


特集

外科的侵襲に対する生体反応:最新の知見

5.急性肺障害の病態と最新の治療

慶應義塾大学 医学部外科(呼吸器外科)

小林 紘一

I.内容要旨
外科領域の術後には無気肺,肺炎,誤嚥や呼吸不全などの合併症に悩まされることがある.術前後のリハビリテーション,呼吸管理をはじめとする全身管理の進歩や呼吸不全の病態の解明が進むに伴いこれらの疾患に対する治療成績も向上している.一方で感染症に併発したり,多臓器不全に併発する呼吸不全では治療に難渋することも多い.1960年代にacute respiratory distress syndromeやadult respiratory distress syndromeとして注目された呼吸不全もその本体についての理解はmicroembolism syndrome,白血球や血小板などの細胞成分の関与,そして近年は各種のcytokins等の液性因子の関与を示す証左が多数あげられている.ARDSもacute lung injury, systemic inflammatory response syndrome(全身性炎症症候群)SIRS,等病態を捉える概念が変わってきているが,肺という単一臓器の機能障害というよりもむしろ全身性疾患の一分症として取り扱った方が適切である.本稿では急性肺障害の病態と治療の知見について述べる.

キーワード
acute respiratory distress syndrome, acute lung injury, postoperative respiratory failure


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