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日外会誌. 104(11): 800-804, 2003


総説

敗血症動物モデル

東北大学大学院 医学系研究科救急医学分野

小池 薫 , 関根 和彦 , 遠藤 智之 , 野村 亮介 , 篠澤 洋太郎

I.内容要旨
敗血症は外科領域では避けては通れない致死的合併症である.しかし,今でこそ活性型プロテインCの有効性が報告されているが1),主として1990年以降に行われた新規敗血症治療薬の多くは,動物実験では有効性が認められたものの臨床試験では無効であった2)~5).これには敗血症動物モデルで得られた結果を過大評価しすぎたことにも原因があったと思われる.従来日本の敗血症研究は,動物実験に重点をおいてきた経緯があり,21世紀を迎えた今,敗血症動物モデルをあらためて見つめ直すことも有意義であろう.本総説では,過去に頻用された敗血症動物モデルの血行動態と炎症免疫応答が臨床の敗血症といかに相違するかを整理し,今後の動物モデルのあり方を考察した.
これからの臨床試験前動物モデルとしては,1)適切な細菌やエンドトキシンの少量ボーラス投与あるいは長時間持続投与モデル,2)腹膜炎モデル(盲腸結紮穿刺,細菌やエンドトキシンの腹腔内投与)などが推奨され,十分な輸液と抗生剤の使用にも注意する必要があろう.

キーワード
敗血症, 動物モデル, エンドトキシン


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