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日外会誌. 104(11): 751-754, 2003


特集

Sentinel node navigation surgeryの現状と展開

3.各種tracerの特性
a.RI法

慶應義塾大学 医学部放射線科

中村 佳代子

I.内容要旨
センチネルリンパ節の検索(SNNS)にRIを用いる事の利点は放射能を検出する高い感度にある.カメラによるイメージングでリンパの流れを追跡する事ができ,手術室にてプローブを用いると,放射能の集積しているリンパ節を確認して即座に摘出する事ができる.ここでは,RI法で用いられている99mTc標識化合物の特性を紹介する.スズコロイド溶液は粒子径が400~1,000nmなので,投与後の流れはゆっくりで,確実にリンパ節にトラップされる.変法で調製したスズコロイド溶液は粒子の約60%以上が200~400nmの大きさの粒子であり,乳癌のセンチネルリンパ節を約100%の割合で検出できる.フィチン酸溶液は投与後に生体内のカルシウムと結合してコロイドを徐々に形成していき,リンパ節に達する頃にはトラップされるに充分の大きさに生長している.ナノコロイド溶液は粒子径が小さいので,リンパの流れを追い,投与した後短時間で手術を行う場合に適している.サルファ系コロイド溶液は30nm以下,200~400nm,400~800nmの粒子を含んでいるので,各々の粒子の特性を生かした使用方法が考えられている.レニウムコロイド溶液は粒子径が安定しているので,SNNS用の放射性化合物として早い時期から注目されていた.リンパ節にあるレセプターと特異的に結合するマンノースや,色素を99mTcで標識した化合物などがSNNS用の新規の放射性化合物として期待されている.

キーワード
99mTc-標識化合物, 粒子径, コロイド, 貪食作用


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