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日外会誌. 104(10): 696-700, 2003


特集

原発巣からみた転移性肝癌に対する治療方針

2.転移性肝癌の画像診断

1) 筑波大学 臨床医学系放射線医学
2) 愛知県がんセンター 放射線診断部

松枝 清1) , 稲葉 吉隆2) , 荒井 保明2)

I.内容要旨
転移性肝癌に対する画像診断には,①転移巣を“可能な限り”検出すること,②転移巣の存在する肝区域や主要な脈管との関係を的確に示すこと,③転移巣の局所進展因子を評価すること,④肝外病巣の有無を確認することなどが求められる.これにはまず,転移性肝癌の画像所見の特徴を理解する必要があり,同時に各種検査法の特性を把握して必要不可欠な検査を選択し施行しなければならない.転移性肝癌はあらゆる癌種で起こりえるため画像所見も多彩であるが,辺縁形態や内部性状,腫瘍内血流動態などの画像情報にはいくつかの特徴があり,これが原発巣の推定にも有用なことがある.転移性肝癌の画像診断に関連する検査法は超音波・CT・MRI・血管造影および血管造影下CTと多岐におよぶ.それぞれの検査に特徴があるとともに,検査機器の性能や造影剤の進歩によって得られる画像情報も幅広くなっている.なかでも転移性肝癌の存在診断においては,肝特異性造影剤のなかの網内系造影剤(superparamagnetic iron oxide:SPIO)を用いたSPIO-造影MRIはKupfferイメージングとして有用であり,低侵襲性検査のなかでの検出能に関する優位性は,ほぼ確立されたといってよい.よって肝転移の検索を念頭においた場合には,今後はこのSPIO-造影MRIを中心として画像診断戦略が構築されていくものと考えられる.

キーワード
Metastatic liver neoplasm, imaging feature, preoperative evaluation, SPIO-enhanced MRI0


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