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日外会誌. 104(9): 606-610, 2003


特集

食道良性疾患の外科治療

7.特発性食道破裂の病因,診断と治療

東京慈恵会医科大学 外科

羽生 信義 , 古川 良幸 , 矢永 勝彦

I.内容要旨
特発性食道破裂のうち,膿瘍が縦隔内に限局して,感染兆候が軽微である特殊な場合には保存的治療で救命できる場合もある.しかし,特発性食道破裂の多くの場合は嘔吐と関係しているので,吐物による縦隔,胸腔の汚染がひどく,早期診断,早期外科手術が救命の鍵を握る.特発性食道破裂の消化管内容は,縦隔内を経由して椎体の両側面から流出し壁側胸膜外側の膿瘍となるので,経過中に膿瘍が増大し,壁側胸膜外を進展,波及することがあり,数回にわたるCT, ECHO検査を行い,的確にドレナージする必要がある.基本的に,姑息的治療法では治癒せしめることはできないので,外科手術療法を積極的に行い,血液浄化法(PMX,CHDF),経腸栄養法,抗生物質製剤による化学療法などの保存的治療も合わせて行う必要がある.

キーワード
特発性食道破裂, 外科手術治療, 胸腔ドレナージ法, 被覆手術


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