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日外会誌. 104(9): 587-592, 2003


特集

食道良性疾患の外科治療

3.食道裂孔ヘルニア

杏林大学 第1外科

森 俊幸 , 跡見 裕

I.内容要旨
食道裂孔ヘルニアは,滑脱型,傍食道型とその混合型に分類される.滑脱型では,逆流性食道炎が臨床上問題となり,薬物治療に抵抗性を示す症例では,逆流防止手術が考慮される.一方,傍食道型および混合型では,通過障害,胸痛,圧迫性呼吸障害を認める場合に手術が考慮される.全胃を胸腔内に認めるものは手術の絶対的適応とされる.治療方針の決定には,上部消化管透視,内視鏡診断に加え,24時間pH検査や食道運動能検査が重要である.滑脱型では,逆流防止手術(floppy Nissen fundoplication)が標準術式である.傍食道型,混合型では,ヘルニア還納,ヘルニア嚢切除,裂孔閉鎖にfloppy Nissen fundoplicationをあわせ行う.食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡下手術は,安全かつ臨床的効果の高い術式であり,今後は第一選択の治療法となっていくものと考えられる.

キーワード
食道裂孔ヘルニア, GERD, 内視鏡下手術

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