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日外会誌. 104(6): 476-480, 2003


特集

膵囊胞性疾患の新展開-IPMTを中心に-

8.十二指腸温存膵頭全切除術ならびに膵頭十二指腸第二部切除

帝京大学 医学部外科

高田 忠敬 , 安田 秀喜 , 長島 郁雄 , 天野 穂高 , 吉田 雅博 , 豊田 真之

I.内容要旨
Begerにより報告された十二指腸温存膵頭切除術は,その後多くのmodificationをうけた.Beger術式では十二指腸側に膵組織を残す部分切除のため,適応は慢性膵炎に限られていた.その後,膵頭部の嚢胞性病変や小さな腫瘍性病変が発見されるようになり,対応できる術式が求められるようになった.一つは,十二指腸を温存させての膵頭部全切除術式(DPTPHR)は,安田,今泉,宮川らにより報告されている.これらの術式では十二指腸の血流保持がKey Pointである.安田らはKocherの受動術をおこなわないで後腹膜血流の保持,mesoduodenal vesselsの温存, posterior pancreatoduodenal arteryの温存により十二指腸血流保持をはかり,胆嚢と胆管を温存し,かつ,十二指腸と尾側膵の吻合を行っている.今泉らも後腹膜の血流保持とmesoduodenal arteryの血流保持を行い,胆嚢ならびに下部胆管を切除し胆管ならびに尾側膵を十二指腸に吻合している.宮川らは,anterior/posterior pancreatoduodenalarteryを温存し尾側膵を空腸と吻合している.
膵頭部切除兼十二指腸第II部切除術(PHRSD)は,pylorus-preserving pancreatoduodenectomy (PPPD)において十二指腸を第II部のみ切除するものである.原則的にできるだけanterior superior pancreatoduodenal artery(ASPDA)を長く温存する.消化管再建はPPPD形式でおこなうものと膵胃吻合を応用した方法がとられている.術後の胃うっ滞は,現在のところPPPDと差がない.
術後の膵機能検査ではDPTPHRがPHRSD, PPPDに比べ良好な結果であり,これは十二指腸の連続性が保たれているか,一部でも切除されているのかの違いではないかと考えている.

キーワード
DPPHR, DPTPHR, PPPD, Pancreatic tumor, IPMT

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