[書誌情報] [全文PDF] (876KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 104(5): 404-411, 2003


特集

癌外科治療の標準化に向けての展望

7.胆道癌

横浜市立大学 第2外科

遠藤 格 , 嶋田 紘

I.内容要旨
外科医に対して,ある一定程度実証された標準治療を実施することが求められつつある.
胆道癌においては,他の消化器癌に比較し予後が悪いため,有効な治療法を模索し開発することが求められており,臨床試験的な治療に重点がおかれている.現時点では,エビデンスのレベルの高い研究は少なく,未だガイドラインも作成されていない.本稿では,最近10年間に発表された論文から,現時点で標準的治療と考えられるもの,研究的段階にあると考えられる治療について検討し,今後の標準化にむけた展望について述べた.
胆嚢癌では,pT1(m), pT2に対する治療法はほぼ標準化されつつある.一方,早期胆嚢癌に対する腹腔鏡下胆摘の適応,StagelVに対する拡大手術(膵頭十二指腸切除,血管合併切除,大動脈周囲リンパ節郭清)の有効性はcontroversialであり,臨床試験的位置付けである.肝門部胆管癌に対する尾状葉切除を伴う肝切除術は標準術式と考えられるが,腫瘍占拠部位に応じた術式の選択については課題が残る.また肝移植術の適応は未だcontroversialである.中下部胆管癌, Vater乳頭部癌はともに治癒切除率が高率であるため,膵頭十二指腸切除を標準術式として良いと思われる.今後は予後規定因子に応じた補助療法の適応が課題である.補助療法(化学療法,放射線療法)の効果も十分実証されているとはいえず,さらなる臨床試験が必要である.今後は,わが国が中心となってエビデンスになりうる多施設共同研究を開始し,課題を検証することによって,さらなる治療成績の向上を目指すべきである.

キーワード
胆囊癌, 肝門部胆管癌, 中下部胆管癌, Vater乳頭部癌, 補助療法

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。