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日外会誌. 104(5): 399-403, 2003


特集

癌外科治療の標準化に向けての展望

6.肝細胞癌

東京医科歯科大学 肝胆膵外科

有井 滋樹

I.内容要旨
肝細胞癌に対する外科治療上の重要な問題点をクリニカルエビデンスに基づいて明らかにし,さらにこれらを標準化することにより外科治療指針を分かりやすく具体的に示すことがまさに今,ガイドラインとして求められている.以下に標準化する際の重要事項を列挙し展望する.1)肝機能予備力判定からみた手術適応 基本的には幕内基準が汎用性が高い.2)手術術式と手術手技 系統的肝切除除が合理的であるが,区域切除未満の小範囲切除において非系統的切除を否定する根拠は乏しい.3)術前,術後療法 治癒切除後の術後療法(再発抑制法)としてインターフェロンが期待されるが,さらなる知見の集積が待たれる.4)小型肝癌に対する治療指針 他の治療法との成績比較にもとずく必要がある.たとえば2cm以下,単発の耐術可能例に対するRFA(radiofrequency ablation)の位置付けを明らかにしなければならない.その他ではインフォームドコンセントのありかた,門脈腫瘍栓症例,術前門脈枝塞栓術,鏡視下肝切除などの適応,周術期管理,術後フォローアップなどについての標準化,さらには再切除,肝移植の適応も議論されるべき事項であろう.

キーワード
肝細胞癌, 外科治療, 標準化, ガイドライン

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