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日外会誌. 104(3): 290-293, 2003


特集

外科教育と専門医制度

5.救命救急医の立場から

1) 杏林大学 救急医学
2) 帝京大学 救命救急センター

島崎 修次1) , 山口 芳裕1) , 村田 厚夫1) , 小林 国男2)

I.内容要旨
外傷診療の最大の課題は,「防ぎ得る外傷死亡(Preventable Trauma Death)」の回避であり,救命後の社会復帰と機能予後も,初期治療の是非に依存しているため,外傷患者の初期診療に当たる医師の責任はきわめて大きい.しかし,日常の救急医療現場では,多くの外科医が外傷患者の初期治療に当たっているという状況にありながら,外傷はこれまで外科教育から疎外され,外傷に関する十分な卒後教育がまったくといって良いほどなされて来なかった.外傷治療は本来外科学の大きな柱の一つであるべきもので,救急医療を修練の場として,その教育が「外科専門医修練カリキュラム」に組み込まれることには極めて高い必然性がある.日本救急医学会では,外傷診療理論を標準化すると同時に,症例数などによる実地修練の限界を補完するOJT(off-the-job training)としてJATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)という教育プログラムを開発した.今後両学会の協力が,わが国の外傷治療の向上に役立つものと期待される.

キーワード
「防ぎ得る外傷死亡」, 日本救急医学会認定施設, 外傷初期診療ガイドライン(JATEC)


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