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日外会誌. 104(1): 9-19, 2003


特集

外科領域におけるセーフティマネージメント

4.診療行為に関連した患者の死亡・傷害の報告について

慶應義塾大学 医学部外科
 TMI総合法律事務所(弁護士)

古川 俊治

I.内容要旨
医師法第21条の異状死体の届出義務に関連して,診療行為に関連した患者死亡の警察署へ届出について,議論が行なわれてきた.日本外科学会は,平成13年3月に,外科手術において予期される合併症に伴う患者死亡は「異状死」には該当しないとする声明を発表していたが,平成14年7月,診療行為に関連した患者の死亡・傷害の報告についての指針を発表した.その特徴は,①医師法第21条に関する法律論から離れて,医師の倫理的義務としての報告義務を規定していること,②明らかな医療過誤による患者死亡のほか,重大な医療過誤での患者死亡が疑われる場合,及び明らかな過失による患者傷害についても報告義務を肯定し,医療の透明性の改善と,医療過誤による死亡や重大傷害例の速やかな患者救済を意図したこと,③中立的機関の創設を強く要請し,新制度設立までの一時的・過渡的な指針に過ぎないことを明示したこと,である.

キーワード
医師法第21条, 異状死


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