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日外会誌. 103(12): 865-868, 2002
特集
術後感染症対策の最近の進歩と問題点
5.食道外科領域における術後感染症
I.内容要旨食道外科領域とくに食道癌術後感染症を中心に解説した.食道癌術後感染症のうち「術野感染」である創感染の頻度は低く,むしろ「術野外感染」である肺炎の頻度が高い.術後感染症の発症を阻止する目的で投与する「術後感染発症阻止薬」と,術後感染の治療目的で投与する「術後感染治療薬」を区別する考え方が重要である.
術後感染症発症を予測する試みとして,phytohemagglutinin(PHA)とconcanavalin A(Con A)刺激による末梢血単核球の増殖能から術前の細胞性免疫能を調べる方法や,術後2時間目の白血球数や第1病日の白血球数の減少に注目する方法がある.さらに術後MRSA感染症発症は術前の血清IgG2値低下で予測できる.
治療に関する進歩を以下に挙げる.MRSA感染症発症率を低下させるためには,MRSAに抗菌力のある鼻腔用ムピロシン軟膏(mupirocin calcium hydrate)を術前に使用する.術後免疫力低下を避けるために,輸血が必要ならば同種血輸血を避け自己血輸血を行う.術後肺炎発症を防止するためには,術前化学放射線療法の照射線量は40Gy以下に抑える.
キーワード
食道癌, 術後感染症, MRSA, 予測, 自己血輸血
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