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日外会誌. 103(12): 856-860, 2002
特集
術後感染症対策の最近の進歩と問題点
3.人工血管感染
I.内容要旨人工血管感染は診断に難渋することが多く,発症すれば致命的な病態に陥ることが多い.その診断には超音波検査やCT,MRI検査が有用で,異所性ガス像,人工血管周囲液貯留,吻合部瘤などが認められる.人工血管一腸管瘻を形成した場合には消化管内視鏡検査により人工血管の露頭が観察できることもある.手術としては感染人工血管除去+非解剖学的バイパス術が一般的であるが,大動脈断端破裂や再人工血管感染が発症すれば致命的となる.In-situ人工血管置換術や大網被覆術も報告されているが,これらも感染が持続すると致命的となる.最近,感染人工血管除去+in-situ凍結保存同種動脈移植術が試みられ,生体材料としての感染抵抗性に期待が寄せられている.拒絶反応の関与や長期遠隔成績など未解明の点もあるが,早期成績をみる限り人工血管感染に対する治療の第一選択となる可能性がある.
キーワード
人工血管感染, 人工血管-腸管瘻, in-situ 人工血管置換術, 非解剖学的バイパス術, 凍結保存同種血管移植術
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