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日外会誌. 103(10): 752-756, 2002


特集

鏡視下手術の現況と問題点-適応と限界-

11.小児外科領域における鏡視下手術の現況と問題点

慶應義塾大学 医学部外科

森川 康英 , 星野 健 , 北島 政樹

I.内容要旨
小児外科領域における腹腔鏡下手術は対象症例数の増加とともに,対象疾患においても拡大を見せている.また疾患によっては単に低侵襲性のみならず術後機能の面でも利点が明らかになりつつある.虫垂切除,噴門形成術,脾摘は小児外科領域においても既に標準治療として行われている.そして小児固有の多くの疾患に対して対象が広げられ,新生児を含め多くの疾患がその対象となりつつある.その対象は胎児にもおよび,子宮内胎児手術が内視鏡下に試みられつつある.しかし内視鏡外科による治療が個々の疾患の治療と患児にとってどのようなメリットがもたらされるかについては一部の疾患を除いて明らかにされていない.このような中で,ヒルシュスプルング病に対する腹腔鏡補助下手術はほぼ標準術式としての地位を確立し,鎖肛,悪性腫瘍にたいしても積極的なアプローチが行われつつある.小児内視鏡外科の抱える問題点は疾患の多様性と希少性からくる症例の少なさと,トレーニングの機会である.これらを打破するためには診療科や専門分野の枠を越えた内視鏡外科全体の基本的なトレーニングシステムの確立が必要である.同時に,ロボテックサージェリーなどの導入による自由度と操作性の向上が求められる.

キーワード
小児内視鏡外科, 胎児手術, 後腹膜アプローチ, HAPC


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