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日外会誌. 103(10): 737-741, 2002


特集

鏡視下手術の現況と問題点-適応と限界-

8.腹腔鏡下胆道手術の現況と問題点

東北労災病院 外科

徳村 弘実 , 力山 敏樹 , 原田 伸彦 , 鹿郷 昌之 , 山本 久仁治

I.内容要旨
腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LC)は多くの利点を有し胆嚢結石症の標準術式となった.しかし,解決すべき問題点を少なからず残している.胆管損傷,急性胆嚢炎手術,開腹移行,胆嚢癌の合併,術中胆道精査そして総胆管結石に対する腹腔鏡下手術などの問題である.胆管損傷は開腹手術より高頻度で,深刻な損傷が少なくない.慎重な手技による防止と早期発見が重要である.急性胆嚢炎の合併は手術を困難にし開腹移行と副損傷を多くする.急性期手術とPTGBDの組み合わせ,そして手技向上が手術成績を改善しよう.胆嚢癌の合併も要注意で,慎重に術前診断を行い,胆嚢癌の可能性が高いときは初めから開腹手術を選択すべきである.総胆管結石に対する腹腔鏡下手術は多くの利点を有しているがその手術困難性とESTなどの内視鏡治療の普及により臨床に定着していない.しかし,手技の習熟と機器の整備で良好な成績が得られている.経胆嚢管法は第一に選択されるべき理想的なアプローチ法だが40%程度に適応が制限された.胆管切開法は,経胆嚢管法の出来ない症例のほとんどに適応できたが,胆管非拡張例は適応から除外すべきと考えられた.胆管ドレナージの選択は注意を要した.腹腔鏡下胆管消化管吻合術はまだ経験が少なく今後の検討課題である.

キーワード
腹腔鏡下胆囊摘出術, 総胆管結石症, 急性胆囊炎, 胆管損傷, 術中胆道造影

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