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日外会誌. 103(10): 729-732, 2002


特集

鏡視下手術の現況と問題点-適応と限界-

6.食道外科

東北大学 医学部先進外科学

宮崎 修吉 , 里見 進

I.内容要旨
食道外科における鏡視下手術の導入は,米国で特に良性疾患において積極的になされてきた.逆流性食道炎やアカラシアなどがそのよい適応であり,術式もほぼ確立されたといえよう.一方,食道癌に代表される悪性疾患に対しては,慎重な意見も多く,未だその適応や術式の統一には至っていない.
われわれは従来より,食道癌に対して鏡視下手術を積極的にすすめてきた.ここでは,食道癌の鏡視下手術を中心に述べる.胸腔鏡下食道切除郭清術は,標準的開胸手術に比べ,疼痛の軽減や術後呼吸機能の改善などの利点を有する.しかし,利点追求のために本来の癌治療の目的である根治性を犠牲にすることはさけなければならない.そこで,われわれは本術式の遠隔成績を標準的開胸術式と比較検討した.その結果,両術式は予後の面から同等であると考えられた.また,安全性の面では導入初期に手術関連死をみたが,次第に術式の安全性は確立されてきた.すなわち,食道癌に対する胸腔鏡下食道切除郭清術は,安全性,予後の面から開胸手術と同等で,食道癌の標準術式として確立されうると考える.

キーワード
食道外科, 食道癌, 胸腔鏡下手術, 予後


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