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日外会誌. 103(9): 611-615, 2002


特集

難治性心不全に対する外科的アプロ一チ-最近の進歩-

10.遺伝子治療

千葉大学大学院 医学研究院循環病態医科学

大塚 正史 , 小室 一成

I.内容要旨
心不全は一般的に進行性で,その予後は極めて不良である.心不全の治療として薬物療法と一時的な機械的心筋補助が行われるが,それらに反応しない重症心不全の症例では心臓移植だけが残された方法となる.しかし,ドナー不足や脳死判定の難しさ,拒絶反応,莫大な医療費のため,我が国では一般的に普及するには困難な状況である.
近年,正常心から不全心に至る経路が分子レベルにおいて明らかにされてきた.心不全を引き起こしている個々の分子をターゲットにした遺伝子治療が新たな治療法として期待されている.不全心で失われた心筋細胞を補うために,非心筋細胞を心筋化させる方法や残存心筋細胞を再増殖させる方法などが実用化に向けて検討されている.特に心不全に関わる心筋細胞のアポトーシスやカルシウム調節分子,不全心でのβアドレナリン受容体の反応性などについて研究され,臨床応用が期待されている.

キーワード
重症心不全, アポトーシス, カルシウム調節分子, βアドレナリン受容体シグナル

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