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日外会誌. 103(8): 557-563, 2002


特集

進行胆囊癌外科治療の現況

6.リンパ節転移様式と手術成績から見た胆囊癌に対する膵頭合併切除の意義

岩手医科大学 第1外科

佐々木 亮孝 , 斎藤 和好

I.内容要旨
胆嚢癌のリンパ節転移様式を中心とした臨床病理学的検討により膵頭合併切除の意義を検討した.
胆嚢癌切除60例中リンパ節転移陽性例は24例(40.0%)で,リンパ節転移部位は各々12b 24.0%,16 21.7%,13 17.1%,8 12.2%,12c 12.0%,12p 8.0%,6 6.3%であった.進行胆嚢癌5年以上生存例は14例で,リンパ節転移陰性例はDO郭清でも胆嚢摘出術,肝床切除術でも生存例が見られたが,リンパ節転移陽性例は5例全例S4aS5切除+PPPD(PD)+D3郭清施行例であった.手術時No.13転移陽性症例は7例で,S4aS5切除+PPPD+D3郭清を施行したn2(+)例が2例長期生存した.n3(+)例に長期生存はなかった.治癒切除が行われた50例中13例に再発が認められ,再発部位は肝6例,腹膜4例,リンパ節4例,骨2例,肺,局所各1例(重複あり)であった.リンパ節再発4例中2例は,手術時No. 12 and/or No. 13リンパ節転移陽性例で胆管温存のD2郭清を施行したが, No. 13再発と思われる膵頭部再発を来した症例であった.
HPD施行16例全例の5年生存率は42.9%であった.術後合併症は11例(69%),在院死亡は術後肝不全から多臓器不全を来した1例(6.3%)で,門脈塞栓術導入以前に拡大肝右葉切除とPD+横行結腸切除を併施した症例であった.
以上,癌遺残無く切除可能な症例でn2までのリンパ節転移陽性例に対して膵頭合併切除を含む拡大郭清の効果が示唆された.大動脈周囲リンパ節転移陽性例は拡大切除の適応はないと考えられた.

キーワード
胆囊癌, 膵頭十二指腸切除, 肝切除, 肝膵同時切除


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