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日外会誌. 103(7): 511-516, 2002


特集

Damage Control Surgery

5.胸部外傷におけるDamage Control

1) 日本医科大学付属千葉北総病院 救命救急センター 
2) 東京大学医学部附属病院 救急部

益子 邦洋1) , 松本 尚1) , 望月 徹1) , 工廣 紀斗司1) , 原 義明1) , 片田 正一2)

I.内容要旨
搬送途上や救急室で重篤なショック,心停止に陥り,或いは高度な呼吸不全を呈する重度胸部外傷例では,早急に適切な処置を行わない限り救命は困難である.Damage controlの適応は一般的に34℃未満の低体温,pH 7.2未満の代謝性アシドーシス,凝固異常(臨床的出血傾向)であり,deadly triadと呼ばれる. Damage controlの治療戦略は3段階に分かれ,第1段階は救急室または手術室における迅速な止血と簡略化した手術の実施,第2段階は集中治療室における全身管理と損傷の再評価であり,第3段階は手術室において根本的治療を行う事である.胸部のDamage controlにおける簡略化手術手技としては,胸大動脈遮断,肺門部遮断,主要動脈分枝の結紮,pulmonary tractotomy, simultaneously stapled pneumonectomyまたはlobectomy, Skin staplerによる心縫合,経皮的バルーンタンポナーデ,シャント造設,胸腔内パッキング,single en massclosure of the chest wall,胸壁のtowel clip closureまたはBogota bag closureなどがある.重度胸部外傷の診療に当たる外科医は,Damage controlの適応,手技,タイミングにつき熟知していなければならない.

キーワード
胸部外傷, damage control, 救急室開胸, simultaneously stapled pneumonectomy

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