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日外会誌. 103(7): 500-502, 2002


特集

Damage Control Surgery

2.Damage Control Surgeryの歴史

帝京大学 医学部救命救急センター

小林 国男

I.内容要旨
大出血を主病態とする重症外傷患者では,しばしば周術期にアシドーシス,低体温,凝固障害などの病態を伴う.このような患者に損傷臓器の修復など根治的手術を遂行すれば,救命の可能性は極めて低い.重度肝損傷に対してperihepatic packingによる圧迫止血を行い,凝固障害などを是正してから再手術する試みが1970年代後半から行われるようになった.1983年にStoneらは,凝固障害を伴う重症腹部外傷に対し,大血管損傷の修復とガーゼパッキングで手術を終わらせ,凝固障害を是正してから再手術を行い良好な結果を得たと報告した.1993年にRotondoらは,重症外傷患者に対するこの治療戦略を “Damage Control” と名付けて標準化した.現在この方法は重篤な外傷患者の救命率を向上する方法として広く世界に受け入れられている.わが国でもDamage control surgeryに類する概念はかなり前からあったものの,体系だった治療戦略としてのDamage control surgeryが取り入れられたのは,1990年代後半のことである.

キーワード
Damage control surgery, 重症外傷, アシドーシス, 低体温, 凝固障害

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