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日外会誌. 103(5): 408-413, 2002


特集

生体肝移植の現況と展開

3.適応
2)B型肝硬変・C型肝硬変・肝癌に対する肝移植

1) 北海道大学大学院 外科治療学講座消化器外科・一般外科学分野
2) 北海道大学大学院 置換外科・再生医学講座

藤堂 省1) , 古川 博之2) , 松下 通明1) , 嶋村 剛1) , 陳 孟鳳2) , 鈴木 友巳1) , 谷口 雅彦1)

I.内容要旨
1990年代半ばまで再発のため移植成績が不良であったB型・C型肝硬変及び肝癌は,近年抗ウィルス剤の開発や移植適応の厳格化などにより良い適応と見なされるようになって来た.B型肝炎再発はLamivudineの併用とHBV免疫グロブリンの又,C型肝炎再発はインターフェロンとRibavirinの長期併用療法でかなりの確率で抑制出来るようになった.しかしB型肝炎は,長期的にはLamivudine耐性変異株が高頻度出現するので,現在開発中のAdefaovirなどの抗ウィルス剤の導入が必須である.肝癌は現在,1)大血管浸潤が無いもの2)肝外・リンパ節転移が無いもの3)単発性5cm以下,多発性3cm以下3個以内の症例のみが移植適応とされている.我が国でこれまでに行われた126例の肝癌に対する生体肝移植の分析結果でもこの適応基準が重要であることが明らかとなった.しかし術前・術後の抗癌療法や分子生物学的なmicro metastasisの同定の意義を確立することが,今後肝癌に対する生体肝移植適応を拡大するためにも必要である.

キーワード
肝移植, B型肝硬変, C型肝硬変, 肝癌

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