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日外会誌. 103(4): 376-380, 2002


特集

食道癌診療の現況と展望

3.食道癌の治療
8)免疫療法

久留米大学 医学部集学治療センター

山名 秀明

I.内容要旨
遺伝子工学の進歩に伴って癌拒絶抗原遺伝子の同定が可能になり,HLA class I 拘束性ペプチドワクチンの臨床試験が活発に行われてきた.しかし,その成績は必ずしも満足できるものではなく,今日では樹状細胞(DC)に癌抗原をパルスしたり,癌抗原遺伝子を導入して臨床効果を得ようとする試みが主流になっている.従来より,第I相試験では高度進行癌患者が対象となるため,当試験で腫瘍縮小効果を期待することは困難と思われてきた.われわれは,ペプチドワクチンの臨床試験に先立ち,高度進行/再発食道癌を対象に自己癌細胞で刺戟した活性化リンパ球の局注療法の第I/II相試験を施行したところ,顕著な腫瘍縮小効果が得られた.また,近年のDC療法の臨床試験においても,腫瘍内局注により腫瘍縮小効果が報告されようになり,LAK細胞療法以降沈滞していた細胞免疫療法にも再び光明が射してきた.今後は,癌ワクチン療法と細胞免疫療法の利点を組み合わせた免疫療法の効果を検証する必要があり,さらに免疫抑制機構や癌の免疫回避機序についても解明し,免疫反応性を高める治療法も確立しなければならないと考える.

キーワード
食道癌, 癌特異的免疫療法, 免疫細胞療法, 癌拒絶抗原遺伝子, 癌ペプチドワクチン

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