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日外会誌. 103(4): 354-358, 2002


特集

食道癌診療の現況と展望

3.食道癌の治療
4)胸腔鏡下手術

大阪市立大学大学院 消化器外科

大杉 治司 , 高田 信康 , 竹村 雅至 , 李 栄柱 , 上野 正勝 , 田中 芳憲 , 福原 研一朗 , 木下 博明

I.内容要旨
本邦における胸腔鏡下食道切除術の現況について述べる.鏡視下手術は患者QOLの向上を期待して行われるが,食道癌に対する外科治療として根治度を低下させないことが重要である.適応は1)広範な胸膜癒着がない,2)片肺換気が可能,3)T3以下,である.気道周囲,特に左側の郭清が不充分となりやすいため,用手法,小開胸併用などが行われている.いずれの術式においても,正確なリンパ節郭清には術野の展開と正面視が不可欠である.鏡視下手術の利点であるカメラ近接による拡大視の活用はリンパ節郭清の質の向上につながる.手術時間短縮,出血量減少にはある程度の症例の経験が必要となるが,小開胸併用ではほぼ通常開胸と同等のリンパ節郭清を同等の時間内に施行が可能で,予後にも差がない.鏡視下術後は創痛と拘束性呼吸障害の軽減が期待できる.術式の工夫,根治度の向上により胸腔鏡下食道切除術が普及し,患者QOLの向上につながることが期待される.

キーワード
食道癌, 胸腔鏡下食道切除術, リンパ節郭清, 手技と適応

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