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日外会誌. 103(2): 233-236, 2002


特集

肺癌非手術療法の新しい試み

5.分子標的治療-EGFR阻害剤-

国立がんセンター中央病院 内科

田村 友秀

I.内容要旨
がん細胞の特性である無秩序な増殖と転移・浸潤を引き起こす分子レベルでの異常を標的として開発された新たなタイプのがん治療薬は分子標的薬剤と呼ばれる.細胞外からの増殖刺激を細胞内に伝える細胞膜上の受容体EGFRは,様々な固形癌で過剰な発現や活性亢進が認められている.EGFR過剰発現と癌の悪性度・予後との相関も報告されていることから,EGFRは癌治療の有望な標的と考えられる.EGFRチロシンキナーゼの選択的阻害剤であるZD1839とOSI-774は単剤の第I相および第II相試験においてシスプラチン抵抗性非小細胞肺癌に対し,腫瘍縮小を含む抗腫瘍効果が認められ,EGFRに対するモノクロナル抗体IMC-C225は化学療法との併用により頭頸部癌,大腸癌に対して有効性が報告されている.いずれの薬剤も第III相試験での評価が進行中であり,これらの薬剤が標準的治療に組み込まれ,治療成績向上に寄与することが期待されている.

キーワード
分子標的薬剤, EGFR, ZD1839, OSI-774, IMC-C225


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